BEFORE

AFTER

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初診時4歳4か月女性
主訴受け口が気になる・食べるのが遅い
治療期間約4か月
治療内容床装置・筋機能訓練装置
費用約12万(検査・診断料や調整料は別)
治療上のリスク歯磨き不良の場合はむし歯になる可能性
習癖や成長・生え変わりに伴い再度反対咬合になる可能性
その他当院は矯正専門のクリニックです。特に、数多くの治療経験と知識に基づいた小児矯正を得意としています。正確な診断を行い将来的な展望や適切な治療時期、患者様ごとに合わせた治療計画を提案します。検査ができない場合は診断ができないため、治療を開始することはできません。

受け口のかみ合わせのお子様はきちんと咀嚼ができないため、うまく食塊形成ができません。

食事時間が長くかかってしまうことが多いですが、保育園やご家庭で食事を早くたべなさいと言われ仕方なく丸のみをして早く食べようとします。そのため食事中にえずくことが多くなったり、良くない咀嚼や嚥下が習慣化してしまうことがあります。

今回の症例は受け口の原因が歯にあるタイプでした。受け口の原因が骨格の問題ではなく、歯にある場合は生え変わりとともに自然と改善する場合もあります。また舌の癖が原因となっている場合は、ムーシールドやプレオルソといった既製品のマウスピースでも改善が見込まれる症例です。

ただし舌の癖が強いとマウスピースの使用が難しいため、きちんと使用できれば改善するものの、うまく使用できず改善しない症例にもよくよく遭遇します。

保護者の方と相談の上、治療のタイミングや治療方法は相談して決定していきます。

お子さんの生え変わりや歯並びのことなど、ご不安な点や、気になる点があれば一度ご相談ください。

茨木・高槻の矯正歯科専門医院

みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木

乳歯列(3歳~5歳)での矯正治療について

①治療はいつ開始するの?

治療開始時期は、早くても本人の協力性が得られる3歳~3 歳半ぐらいに開始となります。乳歯だから永久歯に生え変わったら治るんじゃ・・・もちろんそういった場合もあるかと思います。希望的・楽観的観測で経過観察とするべきではなく、検査・診断を行い、治療介入が必要であるかどうか、もしくは戦略的に医学的に経過観察すべきであることの根拠が大切です。

②装置はどのようなものを使用するの?

歯並びに問題がある場合、必ず原因があります。習癖の問題であれば習癖の改善を、骨格的な問題であれば骨格的な改善が必要となり、それぞれ装置も異なります。つまり、「受け口の改善には必ずムーシールドやパナシールドを使用する」といったことはありません。検査・診断を行い、将来的な展望や装置の選択も含め治療計画を立てていく必要があります。
もちろん、ムーシールドやパナシールドといった装置が悪いわけではなく、お口の中の状態によってはそういった装置を使用することも選択肢となります。

③治療を行っても後戻りするの?

受け口(反対咬合)や交叉咬合は治療を行っても再発する可能性があります。特に骨格的な要因で受け口や交叉咬合になっている場合は、成長に伴い再発する傾向が強くなります。ですので、治療を行い改善しても成長が止まるまで経過観察することも多く、乳歯列から治療を開始した場合、長期管理が必要となります。

④受け口以外の歯並びの治療は乳歯の時は治療しないの?

受け口(反対咬合)と交叉咬合(顎をずらして噛む)以外の矯正治療は乳歯列では基本的には行いません。
出っ歯(上顎前突)や歯のガタガタ(スペース不足・叢生)などの治療は、6歳臼歯と前歯の永久歯が萌出したタイミングで治療を開始することが一般的です。

矯正治療ではありませんが、過剰歯や歯牙腫、含歯性嚢胞がレントゲン写真で見つかることも少なくありません。こちらのブログも参照してください。永久歯への影響が強く出てしまう場合は未就学児の段階で口腔外科へ紹介し、全身麻酔下で摘出や場合によっては牽引治療が必要となることもあります。

⑤顎の成長様式と矯正治療の適切な時期

体の成長はスキャモンの発育曲線が有名です。神経組織は5歳までに成人の80%の成長を遂げるのに対し、一般型は身長や体重の成長を示し10歳頃から高校生や大学生頃にかけて成人の能力へと成長します。 このように同じ体の中でも成長する時期や期間が大きく異なります。 脳に近い上顎骨は神経型に近い成長を、下顎骨は一般型に近い成長様式を示すため、一般的には上顎骨のほうがはやく成長が終了し、下顎骨のほうがゆっくりと長い期間成長していきます。

つまり、骨格的な要因で受け口になってしまっている場合、成長に伴う体の変化がさらに受け口を助長してしまう傾向にあります。ゆえに乳歯列期に骨格的な問題のある反対咬合の矯正治療を開始した場合も、乳歯列期で治療が完了することは少なく、成長が残っている間は治療や経過観察が継続せざるを得ないことも珍しくありません。

長期化するのであれば大人になってから矯正治療を始めたほうが良いのでは?と考える先生もいらっしゃいます。もちろん患者様によってはそのようなほうが望ましいこともありますが、そうは言い切れません。「受け口はいつ頃・この装置で治療すべきである」という指標はなく、患者様それぞれによって大きく異なるため、患者様ごとに適切な診査・診断を行う必要があります。

⑥お肉が嫌な理由は歯並びが原因?

お肉が嫌い・食べるのが遅い・いつまでも噛んでいる・小さくしないと食べないといったお悩みはありませんか?もちろん味やにおいが嫌いな場合もあるとは思います。歯並びに問題がある場合、物理的に噛めない歯並びであるがゆえに食べたくても食べられない=食べたがらない、嫌い、食べるのが遅い原因となってしまっている場合があります。このようなお子様に食べさせようとしても無理なものは無理なのです。歯並びを改善することで、お肉がスムーズに食べられるようになった、えずくのがなくなったといったお声を聞くことが非常に多いです。また受け口のかみ合わせのせいでおかしな咀嚼の仕方になっているため改善が遅くなるとその癖が残りやすくなるためできるだけ早期に歯並びの改善が望ましい場合があります。左利きを右利きに改善する場合、小学生の高学年になってからだと難しくなっているのと同じようなイメージです。

⑦ご飯を丸のみしている、食事中えずく

受け口のお子様はかみ合わせの問題から奥歯で物を噛み千切ることが難しい場合が多いです。
元々食事の時間がかかっていたような場合でも、保護者の方に注意されたり、保育園のご飯の時間に食べ終わらないため、それに適応するようにご飯を早く食べようとします。
受け口であるために歯をぎりぎりと動かすことができないため、食事を小さくすることをあきらめ丸のみするようになるのです。それにより食事時間は短くなりますが、よくえずくようになったり、あきらかに咀嚼していない様子が見受けられるようになります。特にご飯や食事が大好きで、お肉も味がすきだから食べたい!という気持ちがあるお子様は、丸のみタイプになりやすいので注意が必要です。

執筆・監修者 

みやの矯正・小児歯科クリニック(大阪・茨木)

院長 宮野 純一

  • 2006 大阪星光学院卒業
  • 2012 大阪大学歯学部卒業
  • 2012~ カノミ矯正・小児歯科クリニック勤務
  • 2020 みやの矯正・小児歯科クリニック開院