歯科も診療科の細分化が進んでいます
医療の分野はますます専門化が進んできました。大きな病院にいくと細かく診療科が細分化されていることは周知の事実かと思います。それは医科だけでなく、実は歯科も同様に細分化されており、例えば保存科・口腔治療歯周科・予防歯科・小児歯科・口腔補綴科・咀嚼補綴科・矯正歯科・口腔外科・放射線科・歯科麻酔科・顎口腔機能治療部・障害者歯科治療部・口腔総合診療部等といったように専門分野が別れています。
おなかが痛い時、耳鼻科や眼科にいくでしょうか?ほとんどの方は当たり前のように「それは専門外だからちがうんじゃないか」といわれます。しかし歯科ではその当たり前が一般的ではなく、なぜかどの歯科医院でも一様にいろんな治療が受けられると思われているのが現状です。
放射線科や麻酔科のように通常大学病院や大きな施設で行われる特別な診療科をのぞくと、ほとんどの歯科医院でその他の治療は行われています。しかし、その中でも矯正治療は特殊な分野であり、講習会や勉強会に少し参加しただけでできる治療ではなく、何年も継続的に経験を積む必要があります。
専門分野が明確であることが大切
高度に各分野で医療が発展している現状、ひとりですべての治療を高いレベルでうまく行える歯科医師というのはまずいません。卒後いわゆる一般歯科を専門としてきた歯科医師にとって、矯正歯科治療が突然できるようになることはまずありえないということなのです。 反対に、矯正治療を専門に学んできた歯科医師の中には、みなさんが歯医者の治療として思い描くであろうむし歯治療や抜歯をやったことすらないことも珍しいことではありません。
そういった背景を考えると、矯正治療に限った話ではなく、「なんでもできる」は「なんにもできない」と同義であり、「専門分野はこれです」とはっきりしている歯科医師を選ぶことが良い歯医者さんの見分けるひとつの方法であると思います。
矯正歯科における認定医・専門医制度
矯正歯科の先生の経歴をみると、認定医・専門医・指導医といった資格を目にすることがあります。しかし同じ専門医でも学会が異なると全く違う資格ということになります。 いま現在、日本矯正歯科学会(JOS)・日本成人矯正歯科学会(JAAO)・日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)という3団体がメインであります。その3団体が各自で設定した基準で専門医を選考していることが大きな問題となっており、現在厚労省指導のもと、3つの団体で統一した専門医制度が確立され始めています。 どの団体においても、認定医となるためには症例の提出や口頭試問等の試験あります。上記の背景から現行の認定医等の資格は国に正式に認められた制度ではないものの、いわゆる矯正治療を専門として学んできたという一つの指標になると思います。
こういった認定医や専門医となるのはどうしても5.6年間大学に所属する必要があり、逆にいうと大学に所属しないと取得が困難な制度となっているため、当院はこの認定医や専門医は取得しておりません。
厚生労労働省が「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名」として認定しているものとしては歯科では以下の5つの資格があります。
○(社) 日本口腔外科学会 口腔外科専門医
○特定非営利活動法人 日本歯周病学会 歯周病専門医
○一般社団法人 日本歯科麻酔学会 歯科麻酔専門医
○一般社団法人 日本小児歯科学会 小児歯科専門医
○特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 歯科放射線専門医
これら5つの専門医は国から認められていますが、残念ながら矯正の専門医はここには含まれていないのが現状です。
講習会を受けただけで認定医?
上記した学会の認定医は、症例の提出や口頭試問などいわゆる試験が存在し、矯正治療の経験と知識が必要となります。一方でインビザライン認定医など、あたかもなにかの資格のように記載しているものもありますが、講習会に参加しただけで「認定医」と掲げてしまっているものも多く存在するので、情報をしっかりと判断することが大切です。